さらに、良いか悪いかは別にして、これまで進めてきた小泉改革、つまり、規制緩和や財政改革による格差の問題で、国民の物言わぬ不満が一気に吹き出たのではないかとも考えられます。
しかし、いずれにしましても、年金制度・社会保険庁の改革はどの政党であれ、行わなければならないものですし、今回の選挙の結果により、今後の国会運営には大きな支障が生じることも考えられますが、変革期にはこうしたリスクは必ずあるもので、政権政党としての責任を全うして頂きたいと考えます。
ただ、今の政治を見ておりまして懸念されますのが、昔からのしがらみから開放されて変化は見られますが、目先の政策だけを追い、その先に何があるのか説明できていないということです。
冒頭申し上げましたように、今回の参議院選挙は、年金問題が争点となりましたが、私は、今後10年の間に、東アジアの統合の問題が必ず出てくるものと考えています。ヨーロッパの統合の次には東アジアの統合が行われ、世界を大きく変化させると考えます。
その際には、自由貿易協定等により、日本の役割が問われます。日本国内では、道州制という統合の問題がありますが、実は、世界的な統合の動きに日本がどう対処していくのか、日本の置かれている環境を考えれば、東アジアのリーダーとして先導的な役割が求められていると考えます。
このような問題を争点にしなかったことに対して、私は不安を感じていますし、国政を4年間、6年間託すということはそういうことではないでしょうか。
また、こうしたことは、国政だけでなく、市政についても感じています。
広島市議会においても、今年4月選挙が行われました。
その改選後、落ち着いてきますと、会派のあり方などについて議員同士、話をする機会が多くなり、自民党系の議員が所属する会派が分散していることの弊害を含めての議論がありました。
私は、地方議会は、住民を代表し、その日常生活に直結する諸問題を論じる場として、また、地域住民の立場に立って種々の政策提言を行い、地域の発展と住民福祉の向上に貢献していく責務があると考えています。
さらに、少子高齢化の急速な進行や本格的な人口減少社会の到来など、今後大きく変化することが予想される時代の趨勢に対応しつつ、活力ある潤いに満ちた地域社会づくりをしていくためには、議会が有する議決権、検査権、調査権、さらには議案提出権などの権限を適切に行使することが従来にも増して強く求められていると思っています。
まさに、今こそ、議会の真価が問われていると言えるのではないかと思っています。
改選後の初議会でありました5月の臨時議会では、議会改革を訴えられて新議長が誕生しました。
政務調査費の見直しについては、改選前に議会として決議をしていますから、どなたが議長になられても当然行われて然るべきものですが、それ以上に、改善すべき制度の見直しや議員が働きやすい体制づくりを進めていく必要があると考えています。
また、時代に合わない制度や曖昧な法律に縛られている地方自治体としては、国に対して、適正かつ迅速な対応をすることを積極的に主張することも必要ではないでしょうか。
それが、時代の変化に対応した活力ある潤いに満ちた地域社会づくりにつながるものと考えます。
今回の参議院選挙を通して、また、市政のあり方にそれを投影して、私は、そのときの世論に左右されることなく、長期的な視点での政治を行わなければならないという決意を新たにしました。
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